ホラーやサスペンス映画といえば、強烈な恐怖や衝撃を味わうジャンルという印象が強いですが、その中には恐怖の先に「希望」や「前向きな感情」を残してくれる作品も数多く存在します。
間もなく訪れる年末年始、暖かい部屋でくつろぎながら、除夜の鐘に耳を傾けて過ごす静かな時間。そんな特別な夜にこそ、ただ怖いだけでは終わらない「心を少しだけ強くしてくれる」ホラー・サスペンスを選んでみてはいかがでしょうか?
今回は、新しい一年を前向きな気持ちで迎えるために観たい、ポジティブな余韻を残す五本の映画を紹介します。
おすすめ映画①『IT/イット』シリーズ恐怖を分かち合うことでもう一度つながれる物語

【友情 5 / 感動 4 / 怖さ 3】
あらすじ:
(『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。”』)
静かな田舎町で児童失踪事件が相次いで発生、内気な少年ビルの弟もある大雨の日に外出し姿を消します。悲しみにくれるビルは、目の前に現れた「それ」を目撃して以来、その恐怖にとり憑かれてしまいます。不良少年たちからイジメの標的にされている子どもたちも、自分の部屋、学校、町の中など何かに恐怖を感じるたびに「それ」に遭遇。「ルーザーズ・クラブ」の名のもと団結しその秘密を共有することとなった仲間たちは、「それ」と立ち向かうことを決意します。
(『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。”』)
「ルーザーズ・クラブ」の仲間たちが幼少時代に「それ」の恐怖から生き延び27年が過ぎ、彼らの故郷では再び連続児童失踪事件が起こります。そして彼らにはそれぞれ「それ」からの「COME HOME」という不穏なメッセージが。27年前に誓った約束を果たすため、彼らは町に戻ることを決意しますが…。
27年ごとに恐怖をもたらす存在“IT”と、それに立ち向かう少年少女たちの物語。ホラーとしての強度は申し分ありませんが、本作の本質は「恐怖を共有すること」で生まれる絆にあります。
不安やトラウマに押しつぶされそうになりながらも、仲間と心を通わせることで一歩踏み出す姿は、大人になった私たちにも深く響くもの。怖さに身構えすぎず、彼らの友情や会話に注目して観ると、物語はより温かく立ち上がります。
年末に観れば、忘れていた人とのつながりを思い出させてくれる一本です。
おすすめ映画②『FALL/フォール』極限の恐怖が本音と再生を引き出す夜

【生存本能 5 / 緊張感 5 / 怖さ 3】
あらすじ:
ある山でのフリークライミング中に夫を落下事故で亡くした女性・ベッキー。事故から一年が経った現在も悲しみから立ち直れずにいた彼女を、親友ハンターは元気づけるべく、新たなクライミング計画を相談しに来ます。それは、人里離れた砂漠の中にある、現在は使用されていない地上600メートルの超高層テレビ塔に登ること。二人は老朽化して不安定になったはしごを登って、頂上へ到達することに成功します。ところが喜びもつかの間、塔を降りようとした瞬間にはしごは崩壊し二人は頂上に取り残されてしまいます……。
地上600メートルのテレビ塔の頂上に取り残された二人の女性が、生還を目指すサバイバル・スリラー。
映像的な恐怖は非常に強烈ですが、注目したいのは極限状態で交わされる二人の言葉です。恐怖の中で吐き出される後悔や本音が、単なるパニック映画を「再生の物語」へと変えていきます。
高所のスリルを楽しみつつ、人間関係の変化に目を向けて観るのがおすすめ。観終わる頃には、なぜか心が軽くなり、新しい一歩を踏み出す勇気をもらえるはずです。
※以下の考察も是非お読みください。
おすすめ映画③『ハッピー・デス・デイ』何度でもやり直せると教えてくれる年越しホラー

【意外性 4 / ポジティブ感 4 / 怖さ 2】
あらすじ:
毎日を遊び呆けている女子大生のツリーは、誕生日の朝に見知らぬ男のベッドで目を覚まします。一日が慌ただしく過ぎ、夜になってパーティに繰り出す道すがら、彼女はマスク姿の殺人鬼に刺し殺されてしまいます。ところが気がつくと彼女は誕生日の朝に戻っており、再び見知らぬ男のベッドの中で目を覚まします。その後も同じ「殺される結末」の一日を何繰り返すツリーは、タイムループから抜け出すため、何度殺されても殺人鬼に立ち向かっていくのですが……。
誕生日の朝を何度も繰り返すことになった女子大生が、殺人鬼の正体を探るホラーコメディ。スラッシャー的展開と軽快なユーモアが同居し、テンポよく楽しめる一作です。
見どころは、自己中心的だった主人公が、ループを重ねる中で他人を思いやる存在へと変わっていく過程。単なる恐怖や謎解きとしてではなく、「人はやり直せる」という視点で観ると、後味は驚くほどポジティブになります。
カップルで観れば、笑いと会話が自然に生まれる年末向きの一本です。
※本作が気に入ったら、物語が完結する続編『ハッピー・デス・デイ 2U』も必見です!
おすすめ映画④『ライト/オフ』闇の中で浮かび上がる、家族という光

【家族の絆 4 / 雰囲気 4 / 怖さ 4】
あらすじ:
ある事情で家を出た女性レベッカは、「暗闇に現れる」という正体不明の存在に怯える幼い弟を守るため、久しぶりに実家へ戻ります。二人はたくさんのライトを準備して夜に備えますが、明かりは次々と消え暗闇から不気味な人物がレベッカたちを狙うのでした……。
「電気を消すと現れる存在」というシンプルな恐怖設定が印象的なホラー作品。短編由来の鋭さを持ちながら、物語は家族の問題と向き合うドラマとして丁寧に描かれています。
恐怖の正体だけでなく、母親と姉弟の関係性に注目して観ることで、作品の印象は大きく変わります。クライマックスに示される選択は切なくも力強く、誰かを守るという行為の重さを静かに伝えます。
単なる恐怖設定を超え、本作は「心の闇」といかに向き合い、愛する人を守るかという、非常に情動的なドラマに着地します。
見終わった後に実家の親や兄弟に一本電話を入れたくなるような、温かい余韻が残るはず。自然と「帰る場所」を意識させられる一本です。
おすすめ映画⑤『トレマーズ』笑って立ち向かう勇気が、年末の空気を軽くする

【ユーモア 4 / アクティブ感 4 / 怖さ 3】
あらすじ:
ネバダ州の人気の少ない小さな町で便利屋をしているヴァルとアールはある日、地震学を研究しているロンダという大学院生と出会い、数日前から原因不明の震動が記録され困惑していることを知らされます。一方そのころ、町の人々が次々と行方不明となり、ある者は不審な死を遂げるという事件が発生します。やがてヴァルたちは、その原因が町の近くの荒野を走り回る巨大な正体不明の地下生物の仕業であることを知り、安全のため町を出ることを決心しますが……。
砂漠の小さな町を襲う巨大生物と、住民たちの奮闘を描いたモンスターパニック映画。恐怖はありつつも、全体はユーモアに満ちた軽快なトーンで進みます。
本作の楽しみ方は、細かい理屈よりも「自分たちの場所を守る」という人々の勢いに身を委ねること。90年代パニック映画の金字塔ともいえる本作はアメリカ映画らしいエネルギーが心地よく、観ているうちに不思議と元気をもらえます。
理屈抜きのエネルギーは、一年の疲れを吹き飛ばす特効薬ともいえます。友人や家族と集まって笑いながら観ることで、前向きな気分を共有できる、文字通り「年末向き」の一本です。
※実は全7作(!)まで続く長寿シリーズ。まずはこの秀作である1作目からどうぞ。
気分を切り替えたい夜に選びたいもう一つの選択肢
『ミスト』

【ディストピア 5 / シリアス感 4 / 怖さ 4】
閉鎖空間に追い込まれた人々の恐怖と狂気を描いた、スティーブン・キング原作のホラー。結末は非常に重く、決して明るい物語ではありませんが、本作は観終わった後にこそ真価を発揮します。
人は極限状態で何を信じ、どんな選択をするのか。答えの出ない問いを突きつけられるからこそ、鑑賞後に語り合いたくなる作品です。
絶望をそのまま受け取るのではなく、「自分ならどうするか」を考えながら観ることで、新年に向けた価値観の整理につながる一本といえるでしょう。
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『激突!』

【衝撃感 4 / スリラー 4 / 怖さ 3】
理由も分からぬまま巨大トラックに追われ続ける恐怖を描いた、スティーブン・スピルバーグ監督の出世作。派手な演出は少ないものの、日常が突然脅かされる不安がじわじわと迫ってきます。
本作は、追跡劇そのものよりも、平凡な主人公が恐怖を乗り越えた末に見せる表情に注目して観るのがおすすめ。何気ない日常の中で抱えているストレスや不安を自覚させられ、同時に解放感も味わえます。
静かに心を整えたい年末に、意外と相性のよいサスペンスです。
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『シャークネード』シリーズ

【バカバカしさ 5 / 勢い 4 / 怖さ 2】
巨大ハリケーンとともに空からサメが降り注ぐという、常識も理屈も吹き飛ばしたパニックアクション。物語に深い意味を求めるのは無粋ですが、その分、楽しみ方は非常にシンプルです。
「サメが空から降ってくる」その一点にすべてを賭けた潔さは、もはや芸術的。目の前の異常事態に勢いと根性だけで懸命に立ち向かう主人公の姿を、深く考えずに受け止めてみてください。
恐怖もツッコミも笑いに変わり、観終わる頃には不思議と気分が晴れているはず。「細かい悩みなんてどうでもいい!」と笑い飛ばして新年を迎えたいなら、これ以上の選択肢はありません!


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