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【映画レビュー】『MaXXXine マキシーン』 80年代のサブカル風景を舞台に時代性と普遍性のコントラストでメッセージを描いた問題作【旧サーバ記事】

※本記事は2025年6月4日に、以下URLにて公開しました。
「horrortopics.com/post/r-maxxxine」

今回紹介する作品は映画『MaXXXine マキシーン』。

今映画作品としては最も旬ともいえるA24発のスラッシャー作品『X エックス』、そしてその続編として発表された『Pearl パール』に続くスリラー作品です。

1985年のアメリカを舞台に、当時ハリウッドを恐怖に陥れた実在の連続殺人鬼「ナイト・ストーカー」の恐怖を一つのアイテムとして取り込みながら描かれた本作。その映像処理の空気感を含め時代を反映したカラーがしっかりと満たされている中に、恐怖感とともに時代的なメッセージを吹き込んだ、注目の問題作であります。

【概要】

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タイ・ウェスト監督&ミア・ゴス主演のスリラー映画『X エックス』『Pearl パール』に続くシリーズ第三作。

1985年のアメリカを舞台に、前々作『X エックス』で生還した女優志望のマキシーンが、その行く手を阻む者たちに抗いながらもハリウッド・スターを目指していく姿を描きます。

前二作に引き続きタイ・ウェスト監督が本作を手掛けました。主演を前作、全前作に引き続きミア・ゴスが担当。さらにエリザベス・デビッキ、リリー・コリンズ、さらにケビン・ベーコンと実力派俳優が名を連ねています。

2024年製作/103分/R15+/アメリカ

原題:MaXXXine

配給:ハピネットファントム・スタジオ

【監督・脚本】

タイ・ウェスト

【出演】

ミア・ゴス、エリザベス・デビッキ、モーゼス・サムニー、ミシェル・モナハン、ボビー・カナベイル、ホールジー、リリー・コリンズ、ジャンカルロ・エスポジート、ケビン・ベーコンほか

【あらすじ】

テキサスの田舎町で発生した凄惨な連続殺人事件が発生して6年が過ぎました。

唯一の生還者であるマキシーンは、もともとポルノ女優として人気を獲得していましたが、今はハリウッドスターへの夢を実現させるべく新作ホラー映画の主演の座をつかもうと奮闘していました。

その頃、ハリウッドでは連日「ナイト・ストーカー」と呼ばれる連続殺人鬼の犯行がニュースで報道され、皆を恐怖のどん底に陥れていました。

マキシーンの周囲でも次々と女優仲間が殺される一方、やがてマキシーンの前に、6年前の事件を知る何者かが……。

【『MaXXXine マキシーン』の感想・評価】

1.80年代という特徴的な時代と普遍性とのコントラストで描いたメッセージ

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本作はタイ・ウェスト監督による『X エックス』『Pearl パール』に続くシリーズ第三作。時系列的には、前作の『Pearl パール』が物語の起源を描いておりシリーズの中で最初の部分を描いているので、本作は前々作『X エックス』直系の作品となっています。

公民権運動から激動の時代を乗り越えた1980年代のアメリカ。前々作で女優としてポルノ映画に出演、その最中の惨劇から生還した主人公マキシーンが、問題の事件をひた隠しにする一方で、ポルノ女優であるというステータスを隠そうともせずハリウッドで頭角を現すべく奮闘する様子から物語はスタートします。

どちらかというと女性が虐げられる時代の物語である『Pearl パール』、そしてポルノ映画という「女性が低く見られる」象徴的な空気感を漂わせていた『X エックス』に対し、マキシーンのその強気な姿勢は、古くから世に蔓延していた女性に対する不遇の空気感に強く抗うような姿勢すら感じられます。

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今では考えられない状況ではありますが、当時はポルノ映画はおろか、たとえばヌードのグラビアが発表された段階で、当人はテレビなどの大衆メディアへの出演がはばかられてしまうという時代でありました。

それでも敢えてハリウッドに挑戦しようとした彼女の行動は、当時さまざまなムーブメントが時代の固定観念を打破しようとした様子に重なって見えてきます。このような時代的設定は、物語本編の殺人事件を伴う激しい展開からすると一見対照的な印象もありますが、実はかなり重要な要素であるともいえます

第一作、第二作から本作は時代背景的に大きな変化を見せた一方で、本作の物語における衝撃的な事件は、三作を通して描かれた「変わらないもの」を示しているように見えます。それは恐怖の陰に隠れた「大きな変化の不完全さ、脆さ」のようなもの、保守的な力を完全に抑えきれない不安のような空気感であります。

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物語のラストに見られるマキシーンの表情は、どこかハッピーエンド的な空気感が流れるエンディングに対し、笑顔の中でなにかの不安に気持ちが揺れているようでもあります。それは、結果的に自身を全うし不安要素をすべて潰してきながらも、どこか消せない心の奥底の闇に恐れおののいている様子にも見えるわけです。

時代的には80年代からさらに大きな変化を超えてきた現在ですが、この三部作はその大きな変化の裏に今なお存在する、消しきれない恐怖、恐れのようなものがあることを示しているようでもあります。

見る側としてはいい意味で「ホラーを楽しんだ」という単純な結末感が出てこない、どこかモヤモヤするような気持ちを醸してきます。サブカルチャーのムーブメントが乱発し、どこか安っぽいデザインが蔓延した80年代の光景をうまく用い、その裏にうごめく複雑な影を描き、新たな時代に何らかのポイントを提起した印象もある作品であります。

主演を務めたミア・ゴスは、シリーズの作品それぞれで単品作品に取り組んだように見せながら、この三部作でそれぞれの作品において、深い意味を持った演技を見せていたことも改めてうかがえるところであり、まさにタイ・ウェスト&ミア・ゴスによるタッグの効能が生きた作品群であるといえるでしょう。

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