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【公開前レビュー】『層間騒音』 都市部の集合住宅の裏に巣食う「闇」にフォーカスした韓国ホラー  

今回紹介する作品は、新作韓国スリラー『層間騒音』。

都市部では多く問題とされている「住民同士の騒音問題」をモチーフとしたこの物語は、とある女性の妹が失踪、その足取りを追う中で理解を超えた驚愕の真実に遭遇するさまを描きます。

作品は2024年のシッチェス国際ファンタスティック映画祭、ファンタジア国際映画祭でも上映され、世界的にも大きな注目を浴びています。

※なお、本記事には広告プロモーションが含まれます。

【概要】

(C)2025 FINECUT Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED

韓国の古い団地でひそかに発生している、原因不明の不気味な騒音をめぐり巻き起こる恐怖の連続を追ったホラー。

作品を手掛けたのは、韓国のキム・スジン監督。主演は『空気殺人 TOXIC』『ミッション:ポッシブル』のイ・ソンビン。ほかにも『修羅の華』『シャーク 覚醒』のキム・ミンソク、ドラマ『未知のソウル』『泰院クラス』のリュ・ギョンスらが共演を果たしています。

2025年製作/112分/G/韓国

原題:노이즈(英題:Noise)

配給:ツイン

劇場公開日:2025年10月10日

【監督・共同脚本】キム・スジン

【出演】イ・ソンビン、キム・ミンソク、ハン・スア、リュ・ギョンス、チョン・イクリョンほか

【あらすじ】

妹のジュヒとともにとある団地で暮らす聴覚障がい者、ソ・ジュヨン。彼女はある日、ジュヒが失踪したことを知らされてしまいます。

失踪後にジュヒの部屋を訪れたジュヨンは、そこに天井まで防音シートがびっしりと敷き詰められた状態を目の当たりにします。

共に暮らしていたころには、部屋で騒音が聞こえると主張するジュヒは、補聴器をつけてもその騒音が聞こえないジュヨンとで対立、ケンカにまで発展してからは会っていない状態にありました。

ところが妹の失踪直後、部屋に訪ねてきた隣人から「夜は静かにしてほしい」と苦情を言われてしまいます。ジュヒが失踪して以来、部屋には誰もいないはずでしたが。

ジュヨンは妹を捜すためにジュヒの部屋に泊まることを決意、やがてそこで奇妙な音とともに、何かがいることを感じはじめて……。

【『層間騒音』の感想・評価】

作品冒頭から「あの音!」日本の偉大な監督へのオマージュすら感じられるインパクト大の韓国ホラー

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負の連鎖的に広がっていく、不可解な「層間騒音」。そしてその魔物に取りつかれた人が一人、また一人と恐怖のどん底へと突き落とされていきます。そして終焉、主人公ジュヨンは、一見戦いの末に平穏を取り戻したように見えますが、その光景にはどうも違和感が残っている様子。果たして彼女がたどり着いたのは幸福?それとも絶望なのか……?

タイトルの「層間騒音(そうかんそうおん)」は、集合住宅で上下階から聞こえてくる生活音を指す言葉。都市部ではマンション、アパートなどの集合住宅による生活者が多く、社会的な問題として韓国では多く取り上げられる要素の一つといえるものであります。

この物語はそんな「問題」の裏に、人間の理解を超えた恐怖が隠されていたという物語。その真実が暴かれる過程において生まれる不穏感に、この作品の特徴が表れているといえるでしょう。

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この団地で、主人公たちの生活をひそかに脅かす音は、まるで清水崇監督作の名作ホラー『呪怨』を彷彿する、あの音。そこには清水監督へのオマージュも感じられます。日本のホラーファンならつい飛びついてしまいそうな物語でもあります。

日本でも『仄暗い水の底から』『クロユリ団地』など、集合住宅を舞台とした作品は多く発表されてきましたが、この作品も負けず劣らずのインパクトを発揮しています。

冒頭から映し出される、狂ったような表情で部屋に防音シートを貼っていくジュヨンの妹ジュヒの表情から、すでに見るものは恐怖に引き込まれていきます。そしてその妹を探し奔走する姉ジュヨンが、音に対して問題のある「聴覚障がい者」という設定もユニーク。

一方で物語に埋め込まれている集合住宅の騒音問題という「個人主義的観点」、「人々の相互理解」という視点はわりに日本の都市部でも身近なテーマとみることもでき、日本での公開においても、多くの人が非常に共感できるところがあるように思えます。

シンプルなテーマにホラー、サスペンス、そして家族愛と多くの要素を巧みに織り交ぜて展開するこの物語。作品全体のカラーも、どこか晩秋を思わせる少し褪せた色彩感もあり、この秋に妙にマッチした作品であります。


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