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【映画レビュー】『近畿地方のある場所について』 超人気ホラー小説を白石晃士監督が独特の世界観全開で映画化!【旧サーバ記事】

※本記事は2025年7月28日に、以下URLにて公開しました。
「horrortopics.com/post/r-kinkimovie」

今回紹介する作品は、日本ホラー映画界の至宝、白石晃士監督が手がけた最新作『近畿地方のある場所について』。

大ヒットホラー小説の映像化作品である本作は、とあるオカルト雑誌の編集部で発生した謎の失踪事件をめぐり、恐怖の真実が明かされていく様子を追った物語。

菅野美穂、赤楚衛二というビッグネームのメインキャストを含め、強烈な白石晃士ワールドが表現された秀作ジャパニーズホラームービーといえる作品であります。

※なお、本記事には広告プロモーションが含まれます。

【概要】

(C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

「このホラーがすごい!2024年版」で第1位を獲得するなど大きな話題を呼んだ、作家・背筋によるホラー小説を実写化した作品。

『貞子VS伽椰子』『不能犯』『サユリ』など数々のホラー、サスペンスを手がけてきた白石晃士監督が作品を手がけました。

メインキャストを菅野美穂、赤楚衛二が担当。脚本は白石監督とともに『スマホを落としただけなのに』シリーズの大石哲也が担当、さらに原作者・背筋が脚本協力を行っています。

2025年製作/日本

配給:ワーナー・ブラザース映画

劇場公開日:2025年8月8日

【監督・共同脚本】

白石晃士

【原作・脚本協力】

背筋

【出演】

菅野美穂、赤楚衛二ほか

【あらすじ】

(C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

とあるオカルト雑誌の編集者が、一つの記事を完成させるべく部屋にこもって数日後に行方不明となります。

その記事の内容は、幼女失踪事件や中学生の集団ヒステリー事件、都市伝説、心霊スポットでの動画配信騒動など、過去の未解決事件や怪現象の数々など、一見つながりのないものばかり。

しかし彼の同僚の編集部員・小沢悠生がオカルトライターの瀬野千紘とともに失踪した編集者の行方を追う中で、それらの謎は「すべて“近畿地方のある場所”につながっている」ことが判明していきます。

真相を確かめようと、2人は何かに導かれるようにその場所へと向かいますが……。

【『近畿地方のある場所について』の感想・評価】

大人気シリーズだからこその「裏切り」!「コミックらしさ」を打ち消し大胆に構築した世界観

(C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

ホラー作品での映像表現で定評のある白石晃士監督。『地獄少女』『不能犯』などの人気ノベル、マンガ実写化を手がける一方で『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』などのオリジナル作品では、モキュメンタリー映像をうまく織り交ぜ、イメージは文字通り「白石晃士」ワールドと呼べる独特の世界観を披露しています。

本作の映像イメージはどちらかというとその前者、後者の中間的な印象を醸すもの。菅野美穂、赤楚衛二を中心としたストーリーと、荒い画質をうまく生かしたモキュメンタリー映像を巧みに交差させた異色の作品として仕上げています。

原作の映画化という意味では、これまでどちらかというと「白石晃士ならでは」のカラーを残しつつも、全般に整った映像で作り上げている感があります。このイメージと比較するっと本作は若干カラーを異にした印象でもあります。

背筋が原作の小説は一般的な評価としては賛否両論、非常に緻密な作風であると評価する意見がある一方で、文面によるイメージの限界を匂わせる批判的な意見も見られるようです。

その傾向からすると、本作はある部分で原作に囚われず製作者ならではのイメージを大いに膨らませた作品であるようにも考えられます。脚本協力に原作者が参加しているという点からは、そのイメージ作りを確かにしているとみることもできるでしょう。

謎が新たな謎を呼び、怪現象が徐々に発散していくこの物語。VHS映像の何気ない映像に、ふと違和感をおぼえる隠し味を忍ばせたり、かなり衝撃的なタイミングで、ドキッとさせられる要素を盛り込んだりと、恐怖映像はかなり見応えのあるものとなっています。

(C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

また菅野、赤楚の物語における存在感も重要なポイント。クライマックスに見られるショッキングな光景でピークを迎えさせるテンションのコントロールは大きな見せ場でもあり、モキュメンタリーとそのサイドストーリーとのバランスのよさが感じられます。

ラストシーンは、何の変哲もない落ち着いた状態での場面ですが、どこか気づきにくい部分がゆっくりと変化し異質さを感じさせてきます。これは白石監督の『白石晃士の決して送ってこないで下さい』などのラストでも見られるもので、ジワジワと後を引く不安感、恐怖感をおぼえさせるもの。ある意味白石監督ならではともいえるポイントであります。

バラエティーに富んだ映像の中で、ビジュアル面で明確なショックをおぼえさせるもの、どこか隠し味的な映像トリックを用いて、恐怖感をにじみ出してくるようなものと、さまざまな恐怖が味わえる本作。チープさすら逆手にとり面白さへと変えてしまう、センスが光るホラー作品であるといえるでしょう。


English Summary: “About a Certain Place in the Kinki Region” (近畿地方のある場所について)

Title: The Convergence of Reality and Ritual: Koji Shiraishi’s “About a Certain Place in the Kinki Region”

[Overview] Based on the viral horror novel by Sesuji—which ranked #1 in “This Horror is Awesome! 2024″—this film is a masterclass in modern Japanese folk horror. Directed by the legendary Koji Shiraishi (Sadako vs. Kayako, Noroi: The Curse), the story follows an occult magazine editor’s disappearance and the subsequent investigation by his colleague (Eiji Akaso) and a writer (Miho Kanno). Their search reveals that a series of disparate urban legends and cold cases are all terrifyingly linked to “a certain place in the Kinki region.”

[Key Analysis: The Shiraishi Touch] Director Shiraishi expertly blends polished cinematic storytelling with the raw, gritty aesthetic of “mockumentary” (found footage) that has become his signature. While the original novel relied on the power of text and fragmented documents, Shiraishi expands this world visually, utilizing low-res VHS textures and subtle “hidden” visual tricks to induce a creeping sense of dread. The film transcends the limitations of a standard adaptation by injecting Shiraishi’s unique flair for the bizarre and the uncanny.

[The Lingering Dread] The film excels in “tension control,” peaking with a shocking climax followed by a deceptively quiet finale. In typical Shiraishi fashion—reminiscent of his work in Kowasugi!—the final scenes offer no easy resolution, instead leaving the audience with a lingering anxiety as the environment slowly, almost imperceptibly, shifts into something “other.” It is a sophisticated piece of J-Horror that proves the genre’s strength lies in its ability to turn the mundane into a source of eternal unrest.


この戦慄の奥にある「真相」を、その眼で確かめるなら。

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