【怖さレベル4:注意】「怖さ」がかなり具体的なレベル。ホラーが苦手な人は「要注意」!
ネットを震撼させた伝説の心霊ドキュメンタリー『死画像』の中で「最恐」と語り継がれるエピソード「クニコ」を起点とした、待望の長編ホラー映画『クニコからはじまる話』。
『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズで数々のトラウマを植え付けてきた鬼才・岩澤宏樹監督が手掛ける本作。キャストには高尾勇次や天貝直奈実ら実力派を迎え、ニュース映像の異常な変容からはじまる不可解な連鎖を描き出します。
最大の特徴は「単なるリメイクに留まらない、フェイクドキュメンタリーとしての圧倒的なリアリティと没入感」。赤く塗られたビデオテープや、座布団が敷き詰められた異様な密室といった、岩澤監督らしい視覚的違和感が観る者の不安を増幅させます。
公開前からSNSを中心に「あの映像がどう進化するのか」と大きな注目を集めており、既存のホラーファンのみならず、現代の都市伝説を追う層からも高い関心が寄せられています。恐怖の原点にして、2026年ホラー界の最重要作。今回はその深淵を紐解いていきます。
※なお、本記事には広告プロモーションが含まれます。
【概要】

2015年にリリースされた心霊ホラー映像オムニバス作品『死画像』に収録され、インターネット上で話題を呼んだエピソード「クニコ」をモチーフとして作られたホラームービー。「クニコ」を起点に、いくつもの恐怖映像が不規則に連続してつながっていくさまを映し出します。
同エピソードを匿名で制作、『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズなどを手掛けたことでも知られる岩澤宏樹が監督・脚本・編集を担当しました。
監督・脚本:岩澤宏樹
出演:髙尾勇次、天貝直奈実、秋江一、優美早紀、塩見珀月、宮越虹海、藤井花歩、遠藤Nozomi、瓜田愛、村上諒、中島朱絵、ばんこく、大串有希ほか
配給:アムモ98
劇場公開日:2026年5 月22日(金)より池袋シネマ・ロサほか 全国ロードショー
【あらすじ】
ある日、心霊ドキュメンタリーの製作を手掛ける事務所に、刃物を持った女が侵入するという事件が発生します。
従業員が負傷するという事態まで引き起こしたこの女は、その目的を「人類を救う」こといいます。
その理由は、この事務所にある「あるいわくつきのビデオテープ」を正しい場所に戻さないと人類が滅びる、というSNSの陰謀論を妄信したから、とのこと。
事務所の取材班は、ネット上で陰謀論を撒いていた男を特定し対面することに。彼に話を聞くと、そのビデオはかつて打ち切りになったシリーズ『死画像』へ投稿されたもので、かの「クニコ」を超える恐怖映像だといいます。
取材班はビデオを探し、その正体を突き止めようと行動を開始します。それが数多の恐怖映像がうごめく、出口なき迷宮への入り口とも知らずに…。
【『クニコからはじまる話』の感想・評価】
1.【戦慄分析】流血以外で生理的嫌悪感を醸す「グロさ」
当サイトによる怖さレベル:Lv.4.0(未体験の「怖さ」を体験する可能性も。要注意!)

グロテスクなビジュアル/流血:中(:流血はほぼなしながら見るからに「グロ」あり)
音響による不快感・ノイズ:あり(『死画像』から引き継がれる印象的なBGMがあり)
演出分析:ローファイが呼び覚ます恐怖
本作における恐怖の中心は、いわゆる「死画像」に連なる映像表現にあります。
オーディオテープやVHSといったローファイなメディアを用い、不完全な状態で再生される音声や映像が、不規則なノイズとともに流れる。その断続的な揺らぎが、観る者の不安をじわじわと増幅させていきます。
現代のデジタル環境ではまず不要とされ、無条件に排除される“乱れ”や“欠落”が、本作では恐怖の源泉となって画面に表示されます。
そのノイズの単なる長回しすら、「何かが起こるのではないか」という予感だけが引き延ばされることで、画面には説明不能な緊張感が充満していきます。
さらに本作は、こうした“死画像”的フォーマットを単なる恐怖提示に留めず、物語的展開の中へと拡張しています。
従来の映像で断片的に提示されていたビジュアル的恐怖に加え、状況や文脈によって増幅される“想像の恐怖”を取り込むことで、より複層的な恐怖体験を成立させています。
2.【作品の批評】“下手さ”の正体──違和感が侵食する映画体験

本作の物語は、一見すると「クニコ」という存在を追うロードムービー仕立てのサスペンスです。映像はモキュメンタリー調で構成され、登場人物たちは調査を進めながら徐々に核心へと迫っていきます。
しかし、その過程で感じられるのは、いわゆる“完成されたドラマ”とは異なる違和感です。台詞はどこかぎこちなく、演技も素人めいて見える場面が多い。一般的な映画の文法に慣れた観客にとっては、ここで引っかかりを覚えるかもしれません。
ただし、この“下手さ”こそが本作の仕掛けです。何気ない会話や風景の中に、説明されないズレや不自然さが紛れ込んでおり、それが断片的に蓄積されていきます。単体では些細に見える違和感が、観る者の深層にじわじわと沈殿し、やがて耐えがたい不安へと変わっていくのです。
その意味で本作は、“観る側の姿勢”をある程度要求する作品とも言えるでしょう。違和感をノイズとして「切り捨てる」のではなく、「拾い上げていく」ことで、初めてその恐怖が立ち上がります。言い方を変えれば「ちゃんと見ないと怖さに気づけない」作品であるともいえるでしょう。
なお本作は、鑑賞環境を選ばない稀有な作品であるといえるでしょう。映画館の大スクリーンでは映像そのものの衝撃が強調され、小さな画面では物語の不気味さがより身近に迫ってくる。それぞれ異なる恐怖体験が成立する点も興味深いところです。
3.【深掘り考察】恐怖の系譜と現代性
3.1 POVホラーの進化と“作られた恐怖”の再評価

POV(主観映像)形式のホラーが世界的に認知された契機としては、1999年の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が挙げられます。この成功以降、同様の手法は一気に拡散し、ジャンルとして確立されていきました。
一方、日本においてはビデオ文化と結びつく形で独自の発展を遂げています。とりわけ『本当にあった呪いのビデオ』に代表される“呪いのフッテージ”形式は、長期シリーズとして定着し、一つの様式美を築き上げました。
その流れの中で登場した『死画像』は、ナレーションを排し、テロップのみで進行するモキュメンタリー形式を採用しつつ、CGや演出を積極的に取り入れた“意図的に作られた恐怖”を提示しました。

当時はその人工性が敬遠される側面もありましたが、現代的な視点から見れば、恐怖を設計するという発想自体はむしろ先進的だったとも言えます。
本作は、その系譜を受け継ぎながら、アナログメディア特有の質感を改めて活用しています。カセットやVHSといった過去の媒体を通じて現れる恐怖は、「現在には存在しないはずの不穏さ」を呼び起こし、時間を越えて侵入してくるような感覚を生み出します。
さらに、「AI生成」やネット文化における行動様式など、現代社会に特有の要素も物語に組み込まれており、過去と現在の不安が交錯する構造となっています。
3.2 “歪み”が導く終わりなき恐怖

本作を貫くキーワードは「歪み」です。登場人物たちは「クニコ」という存在に近づこうとしますが、調査を進めるほどに焦点はずれ、むしろ距離は広がっていく。
その過程で、物語そのものがねじれていくような感覚が生まれます。
この歪みは恐怖映像だけでなく、映像で描かれるもの、物語すべてに微細なズレのような形で織り込まれ、それが積み重なることで現実感が徐々に崩れていきます。

本作は“謎を解くこと”によって安心を与えるタイプの作品ではなく、むしろ真実に近づくほど疑問は増幅し、物語は拡散していきます。近年の伏線回収型の作品とは対照的に「理解できないこと」そのものが恐怖として機能しているのです。
そしてラストに提示される一言は、フィクションと現実の境界を曖昧にし、その境界線を観る者のすぐそばに引き寄せます。物語は終わっているはずなのに、恐怖だけが現実に残り続ける──その感覚こそが、本作の最も強烈な余韻と言えるでしょう。
こちらも是非!
「恐怖」「戦慄」の根源を見えないものとして、普通ではない不安感、絶望感を醸す物語。
ゆりやんレトリィバァの過去の経験をモチーフに描いた「正体不明」のサスペンス『禍禍女』。物語の筋としての終点が見えないのに、感情への強烈な揺さぶりを覚える。
謎の街で起きた凄惨な事件、その闇で妹はなぜ失踪したのか?あふれるメディアのフッテージと不可解な手がかりにもまれながら、一人の女性が「絶望」に向かう物語『シェルビー・オークス』。
【次回の『公開前レビュー』】
次回は映画『ミステリー・アリーナ』をレビューします。
犯人を当てれば、賞金100億円!全国民が熱狂する生放送の推理クイズ番組「ミステリー・アリーナ」が、銀幕で開幕します。
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名匠・堤幸彦監督が仕掛ける、バラエティの枠を超えた予測不能な新感覚エンターテインメント。二転三転する多重解決の果てに、あなたはこの謎を攻略できるか?観客をも巻き込む極上の知略バトルを、徹底レビューします。
当サイトならではの深堀考察に是非ご期待ください!
English Summary
Title: The Story Starting with Kuniko (2026) – A Lo-fi Descent into J-Horror Nihilism.
Summary: Director Hiroki Iwasawa returns to the roots of his legendary “Kuniko” segment from the Shigazo series. This mockumentary-style feature eschews modern jump scares for a slow-burning, sensory dread fueled by analog glitches and subtle “irregularities” in reality. It is a meta-horror experience that demands the viewer’s full attention, proving that the most terrifying things are often found in the static of an old videotape.
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