※本記事は2024年9月10日に、以下URLにて公開しました。
「horrortopics.com/post/r-nope」
今回紹介する映画は、『アス』『ゲット・アウト』で見せた独特の個性・世界観で大きな注目を浴びたジョーダン・ピール監督の最新作『NOPE/ノープ』。
ホラーというジャンルに独自のアプローチで挑んだピール監督。
血しぶきなどのグロテスクな表現はほどほどに、背筋がゾクッとするような感覚をもたらすそのアイデアは今多くの注目を集めており、次回作にも期待が集まっています。
※なお、本記事には広告プロモーションが含まれます。
【概要】

とある田舎町の空に、ある日突然現れた不気味な飛行物体をめぐって、その怪現象解明のために撮影に挑む兄妹がたどる運命を描いたホラー作品。
『ゲット・アウト』でジョーダン・ピール監督とタッグを組んだダニエル・カルーヤが主演を務め、主人公の妹役を『ハスラーズ』のキキ・パーマーが共演。
他にもドラマ『ウォーキング・デッド』のスティーブン・ユァンらが名を連ねています。
2022年製作/131分/G/アメリカ
原題:Nope
日本公開日:2022年8月26日
【監督・製作・脚本】
ジョーダン・ピール
【出演】
ダニエル・カルーヤ、キキ・パーマー、ブランドン・ペレア、マイケル・ウィンコット、スティーブン・ユァン、キース・デビッド ほか
【あらすじ】
田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、生計を立てているヘイウッド家。家業を継ぐべく、毎日父との仕事に勤しむ長男のOJでしたが、一方で家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにはうんざりしていました。
そしてある日、いつもの通り牧場の仕事をしていたOJは、突然空から異物が降り注いできたりするのを目撃します。その現象が止んだかと思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていました。落下物により命を落としたのです。
一方OJは、その不可解な死の直前に雲に覆われた巨大な飛行物体のようなものを目撃しており、父が亡くなった数日後にも、同じように空に何かが飛び回る様子を目の当たりにしていました。
「その飛行物体の存在を収めた動画を撮影すれば、ネットでバズり一儲けできるはずだ」――そう考えた兄妹は、飛行物体の撮影に挑みますが……。
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【『NOPE/ノープ』の感想・評価】
1.「なにかわからないものがもたらす恐怖」コンテンポラリー・ホラーの傾向を踏襲

突如として人前に現れた飛行物体、それはいったい何者なのか?
結果から言うと、本作でその正体ははっきりと語られません。このポイントは、ある意味近年のホラーの特質を示しているようです。
古典的なホラーは、グロテスクなモンスターや霊体など、ある程度明確な要因が見えるものがほとんどです。しかし、前回レビューをおこなった『スナッチャーズ・フィーバー』やジョーダン・ピール作品である『アス』、そして本作『NOPE/ノープ』など、最後までその実態を明かさない「恐怖」を描いた作品は近年多く存在しています。
これは一つの傾向的な流れともいえるでしょう。例えばホラー・ジャンルの金字塔ともいえる「ゾンビ」関連の作品は、今やホラーというジャンルを超え、コメディーやアクション、はたまた「人生を見つめ直すきっかけとなる」ドラマ的な作品も多く輩出されています。
その意味で、人間は「なにか正体のわからないもの」が怖い、という原点的なコンセプトを打ち立てた作品が多くあり、本作もその1本であるといえるでしょう。
そして本作の「恐怖」である謎の飛行物体には、ユニークな性質が巧みに盛り込まれています。
「空飛ぶ円盤」といえばまさに円盤の形をしていますが、「それは本当にいつまでも円盤なのか?」、また「この円盤はどうやって人に恐怖をもたらすのか」といった課題に、独特のアイデアが駆使されています。
また、スティーブン・ユァン演じる人物ジュープが過去に遭遇した子ども番組の悲劇と、この飛行物体との対峙など、それぞれの展開の伏線が非常にうまく絡み合い、物語の厚みを作り出しているところにも注目です。
2.ジョーダン・ピール監督の社会的視点と一貫したテーマ
作品を手がけたジョーダン・ピール監督は、もともとスパイク・リー監督作品の製作を務めていたり、ニア・ダコスタの『キャンディマン』の共同脚本とプロデュースを手掛けたりと、非常に「黒人社会」の描写に関して深い視点を持った製作者です。
映画製作に携わる前にはコメディアンとして活動していた時期もあり、社会的観点にも独特の視点を持たれているものと想定されます。
本作の前に手がけた『ゲット・アウト』はまさに「肌の色」の違いに言及したスリラーでした。『アス』も直接的に言及したポイントはありませんでしたが、メインキャストの家族と謎の人物たちとの対比は非常に対象的でした。
本作もメインキャストとなるダニエル・カルーヤ、キキ・パーマーの二人が黒人であることより、ピール監督の一貫したテーマへの言及がうかがえる作品であるといえるでしょう。
注目すべきはスティーブン・ユァンの存在です。本作では白人キャストがそれほど目立たず、この3人の行動がメインとなる物語ですが、苦しい牧場経営に四苦八苦する兄妹と、わりに羽振りのよいアジア系男性という構成は、マイノリティ社会の描かれ方としてまた新たな視点を提起しているようでもあります。
そしてユァン演じるジュープ、カルーヤ、パーマーが演じる兄妹それぞれの運命がどこに落ち着くのかという展開も、なにか社会に向けた痛烈なメッセージを描いているようです。
一方で注目したいのは、カルーヤ演じるOJの表情です。『ゲット・アウト』でもそうでしたが、あまり感情をあらわにしないのが特徴的であり、あえてそのポリシーを貫いているところには、物語で描こうとするテーマが非常にうまく絡み合っているように見えるでしょう。
Movie Review: NOPE
Summary: Nope (2022), directed by Jordan Peele, is a thought-provoking contemporary sci-fi horror thriller starring Daniel Kaluuya and Keke Palmer as estranged siblings running a struggling horse ranch in a California canyon. After witnessing their father’s bizarre death caused by falling debris, they discover a mysterious, menacing unidentified flying object lurking in the clouds and attempt to capture it on camera for fame and fortune.
Following Peele’s signature style seen in Get Out and Us, the film brilliantly plays with the dread of the unknown, human hubris, and the themes of spectacle and exploitation. Blending atmospheric tension with a chilling subplot about a former child star haunted by a tragic chimpanzee rampage, Nope delivers a unique, socially conscious cinematic experience.
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